留学生の雇用でお店に元気を入れましょう

外国人留学生雇用に関しての法律上の注意点4つ

2008年、文部科学省がグローバル戦略の一つとして、「留学生30万人計画」を発表しました。2020年までに留学生の人数を30万人に増やす計画です。結果として、2019年10月末の時点で、留学生の人数が33万7,000人となっています。 

そのため近年、居酒屋やコンビニで働いている外国人の留学生を見かけるようになりました。これからさらに留学生の雇用も一般的になるでしょう。 

この記事では、外国人留学生を雇用するにあたっての注意点や確認事項を解説します。在留資格や就労制限などの確認をせずに雇用してしまうと、「不法就労」にあたり罰が科される可能性があります。それらについて複雑というイメージを持っている人も少なくありませんが、見るべきところは決まっています。そのほかにも、外国人も日本にいる限りは日本の法律が適応されるので、特に注意したいことをまとめました。 

 

在留資格「留学」と就労制限の確認

留学生を雇う前に、就労可能かどうかを確認するのは事業主の責任となります。確認せずに就労不可の人を働かせてしまうと「不法就労助長罪」に問われ、最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科されます。在留資格や就労許可の確認は複雑に感じるかもしれませんが、法則がわかれば簡単です。 

在留カード(外国人の身分証明書)の表の在留資格欄に「留学」と記載されている場合は、裏に「資格外活動許可」のスタンプが押されているとアルバイトができます。確認の方法をより詳しく紹介する前に、「留学」という在留資格と留学生が日本でアルバイトをするために必要な許可を説明します。 

 

在留資格「留学」とは 

留学生が日本に来る前に、勉強を目的とした来日であることを日本政府に申請し、審査をして「留学」という資格をもらいます。勉強という活動目的で在留許可を得たため、労働活動はできず就労不可の場合がほとんどです。 

ただし、学費や生活費を払うためお金を稼がないといけない場合、「資格外活動許可」を申請し、受理されれば1週間に28時間まで仕事をすることができます。 

例外として、風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第1項で言われる「風俗営業」が営まれているお店では働くことができません。キャバクラ、バー、ゲームセンターなどがそれに当たります。 

 

不法就労をさせると懲役になる可能性も 

「資格外活動許可」がない留学生を雇ってしまったら「不法就労助長罪」に問われます。また、1週間に28時間以上勤務させることも同罪です。「不法就労助長罪」に問われると最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科されます。 

2017年には派遣会社の社長がベトナムの留学生4人を不法就労させたため、2年の懲役と200万の罰金と判決されたことがありました。また、営業部の部長に罰金科される判決例もありました。十分に注意しましょう。 

 

「在留資格」と「資格外活動許可」を確認しましょう 

「在留資格」は在留カードを見ればすぐにわかります。在留カードは外国人が常に携帯しないといけない入国管理局が発行した身分証明書です。 

留学生の場合、在留カードの表の在留資格欄に「留学」と記載されます。またその隣にある就労許可欄には「就労不可」と記載されることが多いです。ただし、在留カードの裏に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」のスタンプがあれば1週間に28時間以内のアルバイトは可能となります。 

また、パスポートにも「資格外活動許可」の紙も貼ってあるはずです。在留カードを確認するだけでは安心できない時はパスポートも確認しましょう。 

在留カードの確認方法についてさらに詳しく知りたい方はこちら:https://visamane.jp/2019/12/19/article1/ 

 

在留カードと勤務時間の管理

外国人雇用の際に管理をちゃんとしましょう

入社する時点で在留カードをちゃんと確認したとしても油断はできません。就労中に在留資格が失効になった場合も不法就労になるので、雇用の後に在留カードの管理も大切です。 

在留カードの期限切れ、時間制限の超過、在留資格の失効の3つは、留学生雇用におけるよくあるトラブルです。不法就労となるそれぞれの理由と対策方法を紹介します。 

 

在留カードの期限を常に確認 

在留カードの期限は3か月から4年3か月と人によって違います。ですので、在籍している留学生の1人ひとりの在留カード期限の確認が必要です。在留期限が切れてしまった留学生には、更新した在留カードを提出してもらわないといけません。更新した在留カードを提出できないのに働かせてしまうと「不法就労助長罪」となります。 

在留カードの更新は、入国管理局に申請を出してから1ヶ月ほどで完了することが多いですが、場合によってはさらに時間がかかることもあります。店舗の人員配置を考慮したうえで、在留期限の2ヶ月前からスタッフに在留カードの更新状況をヒアリングしたほうが良いでしょう。 

また、更新完了までに在留期限が切れてしまう場合があります。この場合、もともとの在留期間が審査終了まで自動的に延長します(最大2ヶ月まで)。その期間でも留学生は勤務できますが、雇い側は更新中かどうかを確認しなければなりません。確認方法は2つあります。 

① 在留カード裏の右下に「在留資格変更許可申請中」スタンプの有無を確認。 

②「申請受付票」の提示。パスポートに貼ってある場合や直接申請者に配る場合がある。 

また、学校が代理で在留カードの更新を行う場合があります。学校が在留カードとパスポートを預かる際に発行される証明書を提示してもらってください。その証明書に留学生の在留カードコピーと在留カードを預かった目的と学校の印鑑、名前、電話番号があるはずです。更新状況は学校に確認すればわかります。 

 

学校に在籍しているかの確 

留学生が日本に滞在するためには、教育機関つまり学校に在籍していないといけません。言い換えると、教育機関に在籍していないのに日本にいたら不法滞在です。当然、不法滞在している人を雇ったら不法就労となりますので、働いている留学生が学校に在籍しているかを定期的に確認しないといけません。 

留学生と面接する際に、学生証を提示してもらいましょう。また、学校に電話やメールで在籍確認を定期的に行いましょう。メールだと学校側とのやりとりが残るのでおすすめです。  

 さらに注意したい点があります。例えば、3月に学校を卒業した後に在留期限のある6月までアルバイトを続けたしたとしまします。この場合、 学校から卒業すると「留学」という在留資格が失効となるので「不法就労」にあたります。 

卒業する時期は学校によって違うので、面接の際にきちんとヒアリングしましょう。また、卒業の時期に近付いたら留学生もしくは学校に確認しましょう。  

ほかにも、卒業して別の学校へ進学することもあります。その場合は、次の学校に入学するまでは就労できません。卒業日と入学日を把握しましょう。 

留学生に「在籍証明書」を学校に発行してもらい提出してもらうことによって、上記のリスクを防ぐことができます。 

 

1週間28時間の制限も注意 

留学生は勉強のために日本に来たので、勉強が最優先です。「資格外活動許可」を取得したとしても、勉強に影響しないことを前提として1週間に28時間以内しか働けません。そのため、留学生を雇った場合は勤務時間の管理も大切です。28時間より1分でも多く働かせた場合は「不法就労」になるので注意が必要です。したがって、28時間ギリギリでシフトを入れるのは避けたほうがいいかもしれません。 

さらに、留学生がアルバイトを掛け持ちする場合、すべての仕事の合計労働時間が1週間に28時間以内に収まらないといけません。例えば、ある留学生がすでにA社で週に18時間アルバイトをしていた場合、B社ではその週は最大10時間までしかアルバイトできません。2つの仕事をあわせて1週間に28時間を超えたら2社とも責任を問われます。 

入社の前に、留学生にすでに仕事しているのかを聞きましょう。それだけでは不安な場合もあるので、最近ではダブルワークしないことや1週間に28時間の制限を必ず守ることを誓約書にして留学生に書いてもらうケースなども増えています。日本語以外に留学生の母国語の誓約書も用意するとなお良いでしょう。 

 

外国人雇用状況届出書の提出は義務

外国人雇用すると届出書の提出が必要!

外国人の雇用状況に変更があった際はハローワークに「外国人雇用状況の届出」(以下、届出書)を提出しないといけません。入社・退職時に提出がない場合、もしくは届出書に虚偽の情報が書いてあった場合は違法となり、1人につき30万円の罰金が科される可能性があるので注意が必要です。 

下記の記事では留学生を雇用する際の届出書の様式と記入方法を紹介します。

外国人雇用状況届出書に関してさらに詳しく知りたい方はこちら:https://visamane.jp/2019/12/25/article2/ 

 

入社する際にも退職する際も必要

届出書は、事業所に外国人の雇用状況が変更あった度に提出しないといけません。ですので、外国人の雇用時だけでなく、退職時にも提出しなければなりません。

 

届出書の様式と記入方法

届出書は3種類の様式あって雇用保険への加入有無によって提出すべき様式が違います。ただし、留学生は「昼間学生」ですので雇用保険へ加入できません留学生を雇用する第3号様式の届出書を印刷して記入して提出しましょう。 

https://www.mhlw.go.jp/content/000493593.pdf 

 

下記の図を参考し気を付けて記入してください。 

記入項目  記入枠 外国人雇用状況届出書_様式第3号(例)
氏名(ローマ字)  ① 
在留資格  ② 
在留期限  ③ 
生年月日  ④ 
性別  ⑤ 
国籍・地域  ⑥ 
資格外活動許可の有無  ➆ 
勤務開始・終了日  ⑧ 
事業主の情報  ⑨ 
記入日付  ⑩ 

 

提出漏れ罰金の対象

外国人を雇用したにもかかわらず提出しなかった場合、最大30万円の罰金が科される可能性があります。また、届出書に記載されている情報が虚偽と発覚した場合も同様です。  

外国人の採用が決まったらすぐ届出書を準備して期限までに提出してください。また、万が一提出が遅れそうな場合はなるべく早くハローワークに相談してださい。遅くなればなるほど罰金が高くなる可能性があります。

 

外国人でも日本の法律に適用

外国人でも日本の法律に適用です

日本の法律は、日本に滞在する外国人にも適用します。外国人を雇うと賃金や保険などのコストを削減できると思いがちですが、それは誤解です。「最低賃金法」や「労働基準法」などの法律は外国人を雇用する際にも守らなければなりません課税の義務も同様です。これについて解説します。 

 

最低賃金など、賃金に関する法律 

外国人を雇用する際は、研修時を含めて最低賃金法が適用します。都道府県により最低賃金が違うので、事業所の所在地の最低賃金を下記のURLから確認しましょう。  

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/ 

 

もし最低賃金より安い給料で雇用したい場合は、「最低賃金の減額の特例許可」の申請が必要です。ただし、外国人を雇用したいという理由で申請すると通らない場合が多いので注意しましょう。 

また、時間外労働が発生した場合は割増賃金を支払わないといけません。1日8時間以上勤務した場合は、基礎賃金の1.25倍の給料支払いとなります。また、夜10時(22時)~朝5時の間に勤務した場合は、基礎賃金の1.25倍の深夜手当が発生します。休日手当も適用するので注意してください。 

 

労災保険と所得税 

下記の表に各保険に加入する必要かどうか、また所得税の納税義務の有無をまとめました。  

労災保険 雇用保険 社会保険 所得税
適用 不適用 場合による 適用

 

労災保険:すべての労働者に労災保険への加入義務あるので、留学生でも加入が必須。留学生の希望は関係ないので注意ください。 

雇用保険:留学生は「昼間学生」に該当するので、雇用保険の加入対象外となります。 

社会保険(健康保険、厚生年金保険):正社員の勤務時間と勤務日数によって異なります。社会保険へ加入する条件としては正社員の勤務時間、および勤務日数の4分の3以上出勤することです。 

下記の表に3つのケースをまとめました。   

留学生:週24時間、週3勤務  勤務時間の4分の3  勤務日数の4分の3  社会保険への加入 
正社員:週40時間、週5勤務 
正社員:週32時間、週5勤務 
正社員:週32時間、週4勤務 

 

所得税については、留学生でも日本で働くと納税の義務があります。1年以上滞在する見込みがない場合、非居住者とされ、国内源泉徴所得20.42%で徴収されます。1年以上滞在する見込みする方は、「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて給料を支払う時に源泉徴収を行うので、留学生でも年末調整を行う必要があります。 

租税条約ある国の留学生なら免税になるので、免税の枠と条件を下記のURLから一度確認してください。ただし、日本語学校の留学生が租税条約の対象外とされる場合がほとんどなのでご注意ください。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/269.htm 

 

福利厚生も適用 

労働基準法は留学生にも適用するため、一定時間を働くと休憩を付与しなければなりません。1日6時間以上8時間以下の勤務する場合は最低45分の休憩が必要です。1日8時間以上働く場合は、最低1時間の休憩が必要です。 

有給休暇の付与も法律で決まっています。半年以上勤務して出勤率が所定出勤日数の8割を超えた場合、有給休暇がつきます。週の出勤日数によって付与する休暇日数が異なるので下記のURLに参考してください。 

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

 

最後に

日本に滞在する留学生の数は年々増えています。そのため、外国人留学生を雇用する機会も増えました。同時に、留学生を「不法就労」させないための注意も必要になっています。 

まずは、留学生が就労可能かどうか、学校に在籍しているかの確認が必要となります。無事に採用になった後は「外国人雇用状況の届出」の提出や、就労時間の管理なども必要となるので忘れずに実施しましょう。

これらがきちんとできていないと、事業主が「不法就労助長罪」となり罰が科される可能性があります。 

そのほか、外国人留学生にも労働基準法や課税などは日本の法律が適応されます。 

外国人雇用の間口が広がる中で、これらは特に注意が必要です。「知らなった」だけでも犯罪になる可能性があるので1つひとつ確認しましょう。 

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